はじめに
動画編集用に使っていた microSD(1TB) が突然読み込めなくなりました。PCでは「フォーマットしてください」と表示され、ファイルにアクセスできない状態。スマホではそもそもSDのデータが表示されません。
ここでは、実際に行った復旧手順と使用ソフト、学んだことをまとめます。
状況
RAW化の確認
エクスプローラーでSDカードを開こうとすると「フォーマットする必要がある」と表示されます。

※ここで「フォーマット」を押すとデータが消えるので要注意。

中のデータが破損しているようなので、SDカードのファイルシステムを確認します。
パソコンで
スタートを右クリック → ディスクの管理
を開くと、SDカード(Dドライブ)のファイルシステムが RAW になっていました。
- 正常:exFAT / FAT32 / NTFS などと表示
- 異常(今回):RAW → ファイルシステム情報が壊れている状態
これだと中のデータは見れないし使えません。新しくデータを入れたり設定を変えたりすると、この後行うデータ復旧が難しくなるので下手にいじらないようにしましょう。
使用環境
- スマホ:iPhone SE3
- PC:ThinkPad(Windows)
- microSD:SanDisk 1TB
- カードリーダー:MSL Force(Lightning接続は不安定)
- 外付けSSD:SanDisk 1TB(復旧先)
※TestDiskで復旧できれば外付けSSDは無くても行ける
使用したソフト
- TestDisk
→ パーティション修復が可能。成功すれば元のフォルダ構造ごと復旧できる。 - PhotoRec
→ ファイルシステムを無視して生データを直接救出。フォルダ構造や名前は失われるが、実データを取り出せる。
どちらも CGSecurity(公式サイト) で配布されているフリーソフトです。
警告が出る理由
Windowsで実行すると「不明な発行元」と警告されます。これは コード署名証明書が付与されていないためであり、公式サイトから入手したものであれば安全に利用可能です。
TestDisk → 失敗
まずTestDiskでスキャンしましたが、結果は 「The following partition can’t be recovered」。
パーティション修復は不可能と判断し、PhotoRecに切り替えました。
PhotoRec での復旧手順
手順は以下の通り。
しっかり正式なサイトからダウンロードしましょう。ダウンロードページには紛らわしい広告も出てくる場合があるので誤って押さないように注意。
- 公式サイトからダウンロード 、PCへインストール
photorec_win.exe
を起動- 対象ディスク(microSD)を選択
- File System:Other を選択
- 範囲:Whole(ディスク全域)
- 保存先:外付けSSDに作成した専用フォルダを指定
- 「フォルダに入る」だけでは確定ではなく、
.
を選んで Cキー(Choose) で決定
- 「フォルダに入る」だけでは確定ではなく、
- スキャン開始(1TBなら数時間〜十数時間)
Photorecは一般的なアプリと違って以下のようにコマンドプロンプト的な画面が出ます。ハッカーやプログラマーになった気分で楽しみましょう(?)

途中でも復旧済みデータは保存されているので、中断しても成果は残ります。
実際に復旧できたもの
MOV / MP4 / MKV ファイルを数多く救出できました。ただ、再生エラーになるファイルもあり。
元のデータを細かく覚えていないので、何割くらい救出できなかったのかわかりませんが、戻ってきたファイルは多いです。試してみてよかった、、、
復旧後の処理:SDカードをフォーマット
データ救出が終わったら、エクスプローラーで 右クリック → フォーマット を実行。設定項目がいくつかあるので必要に応じて変更しましょう。今回は何もいじらず、デフォルトのままで進めました。
- 64GB以上のSDXC/SDUC:exFAT を選択
- アロケーションユニットサイズ:既定
- クイックフォーマット:オン

カメラやスマホで使う場合は、そちらに合わせた操作が必要かもしれません。端末側での「カード初期化」や SD Formatter(公式ツール) 等
chkdskとの違い
Windowsには標準で chkdsk という修復ツールがあります。
- chkdsk = 軽度なファイルシステムの不整合や不良セクタをチェック・修正
- TestDisk = パーティションやブートセクタ修復
- PhotoRec = ファイルシステムを無視して生データを救出
RAWになったドライブでは chkdskは使えません。そのため、今回のようなケースでは TestDisk / PhotoRec の出番になります。
学んだこと
- まずは TestDisk → ダメなら PhotoRec
- Photorecでの復旧先は十分な空き容量のある別の保存先が必要
- SDカードは「移行専用」にし、重要データは必ず二重化
- 動作が不安定なら潔く使用を中止するか別の手段を用意する
まとめ
SDカードがRAW化しても、適切な手順を踏めばデータを救出できる可能性は高いです。
ただし100%戻る保証はありません。
今回は、SDカードリーダーの動作が接続が不安定な状態にもかかわらず使い続けていたのが一番の原因だと思います。
こういうトラブルって、粘るのも大事ではあるんですが、最終的にすっきり解決しない状態で粘り続けるのはよくないですね。
参考資料
- CGSecurity – TestDisk & PhotoRec
- VideoLAN – VLC Media Player
- FFmpeg Documentation – Stream copy
- SD Memory Card Formatter
- Microsoft – ディスクの管理
- Microsoft – chkdsk コマンド
- SanDisk SecureAccess / PrivateAccess
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